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zoom RSS コバケン&都響の『運命』を聴いてきました

<<   作成日時 : 2017/08/03 23:41   >>

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小林研一郎(コバケン)指揮東京都交響楽団(都響)のベートーベン交響曲第5番『運命』と、ドヴォルザーク交響曲第8番を聴くため、上野の東京文化会館へ行ってまいりました。

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『運命』とドヴォルザーク8番というポピュラリティあふれる組み合わせは、やはり夏休みのゆえでしょうか。
もっとも、会場にはそれほどファミリーの姿はめだっていませんでした。


僕は『運命』のCDを3枚持っています。
バーンスタイン/ウィーンフィルの1977年の録音。
カラヤン/ベルリンフィルの1982年の録音。
ドゥダメル/シモン・ボリバル・ユースの2006年の録音。
といったところです。

今回は聴きこむ、とまではいかなかったんですが、コンサートを前にこの3枚を聴いてきました。
ドゥダメル盤はテンポが超早く、バーンスタインはゆっくりと対照的。
その中でカラヤン盤はさすがの重厚感で、ドラマチックな演奏をくりひろげており、改めていうまでもないですが名盤と感じました。

カラヤンのシベリウスの演奏などをCDで聴くと、
「シベリウスはこんなんじゃないやい」
とつい反発したくなってしまいますが、やはりベートーベンの演奏はさすが、といった感はありますね。


ドヴォルザーク8番のCDは1枚しか持っていません。
ジュリーニ指揮ロイヤル・コンセルトヘボウの1990年の録音です。

実はこの曲、その親しみやす過ぎるメロディがいささか安っぽく聴こえ、
(特に3楽章)
正直これまであまり好きな曲ではありませんでした。
今日の演奏がその先入観を打ちやぶってくれることを期待しています。

ジュリーニの演奏はテンポが遅めで、音色もやわらかく、やや力強さに欠けるような印象。
僕が先述のような先入観を持っていたのも、いくばくかはこのジュリーニの演奏のせいかもしれません。
ところで、この曲には以前『イギリス』というサブタイトルがついていましたが、最近ではいわないようですね。


会場は8〜9割の入りで、S席には多少空席も見られました。
もしファミリー向けのプログラムとして組んだのなら、昼間の時間帯にしたほうがよかったかもしれません。
でも、小林研一郎さんの演奏を聴くのははじめてなので、期待が高まります。


コンサートのオープニングは、ベートーベンの『エグモント序曲』です。
ゲーテの劇の序曲として書かれたこの曲、やはりベートーベンの作曲した劇中曲は現在ほとんど演奏されることがないそうですが、この序曲だけは演奏機会が多いそうです。

コバケンさんの指揮は一音一音くっきりと線を描いたような、輪郭のはっきりした演奏。
文字でいうなら、“楷書”といったところでしょうか。
こうした書法はベートーベンとの親和性は高いと思われ、『運命』のほうにも期待がもてます。
今日の充実したプログラムの始まりを告げるにふさわしい曲でした。

続いてわずかな休憩をはさみ、すぐに『運命』がはじまります。
超有名な冒頭部分、何度となく聴いたモチーフですが、こうしてナマで聴くと新鮮な感動があります。
熱心なクラシック・ファン以外にとっては、冒頭部分だけは聴いたことがあっても、全部通しては聴いたことがない曲の代表かもしれません。

コバケンさんの指揮は奇をてらわず、テンポ設定もオーソドックスな、ベートーベン演奏の標準ともいうべきもの。
マジックでくっきりとした太い線を描いていくような書法は健在で、いかにもベートーベン、といった感じが強く出ています。

ゆったりとした第2楽章をはさんで、第3楽章では冒頭の4音動機が形を変え、悲しげになって再登場します。
千両役者が衣替えをして何度も登場するようなもので、この曲の盛りあがる要因のひとつになっています。

さらに第4楽章では、4音動機が明るく、ポジティブになって再々登場。
ベートーベンが「くり返し」というものの持つ魔力を、存分に活用したのがこの曲です。
僕もこうしてナマで通して聴くことで、この曲のもつ緻密な構成をあらためて知ることができました。
ベートーベンのすごさを再認識させられます。

エンディングに向けて加速度的に盛りあがっていくラストは、まさにベートーベンの真骨頂。
いぜん都響のことを、「パッションのオケ」と評したことがありますが、この日の演奏も情熱に満ちていました。
パッションの指揮者、コバケンのもとで、パッションのオケが存分にその輝きを引きだされた、まさに炎のような演奏。

僕はマーラーの交響曲などと対比して、「ベートーベン的ハッピーエンディング」という表現をよく使いますが、
(そこには「古くさい」というニュアンスも若干含まれています)
やはりライブに向いているのは、こうしたラストに向かってまっすぐに盛りあがっていく曲であるのも事実なんですよね。

僕は今までこうした一般的な意味での人気曲を、あえて避けてきた部分もあるのですが、今日ライブで『運命』を聴いてみて、やはり名曲と呼ばれるものにはそれなりの理由があるな、とあらためて思わされました。


20分の休憩をはさんで、コンサートはもうひとつのメイン、『ドヴォルザーク8番』に流れこんでいきます。
メインディッシュが2つもあるなんて、なんてぜいたくな演奏会なんでしょう。

ボヘミアの民族的なモチーフから、第1楽章がはじまります。
歌謡曲ライクなメロディーを、コバケンさんは甘くしすぎず、力強さを加えながら指揮していきます。
おっ、この曲、なかなかいいぞ。

特にそれが顕著にあらわれたのが第3楽章で、ジュリーニのCDでは口の中にべたべたが残るほどの甘さだったのに対して、コバケンさんは哀愁をただよわせながらもきりりとした演奏にまとめあげています。
そして圧巻の第4楽章。
民族性が強調されたメロディーラインを、コバケンさんはあくまで力強くみちびいていきます。

気づけば僕も、リズムに合わせて体を揺らしていました。
マエストロの調理によって、いかようにも変わるこの曲、コバケンさんは僕に新しい魅力を見せてくれました。
これからは好きな曲のひとつになりそうです。


というわけで、メインディッシュが2つという「2度おいしい」今晩のプログラム。
ポピュラーすぎる選曲には、はじまる前はちょっと懐疑的だったのですが、いざ聴いてみたら本当に楽しかったです。
コバケンさんという指揮者にも、これからは注目していかなきゃいけないかもしれません。

またどこかのコンサートホールに行ったらレポートします。
それでは!


〈観覧日:2017年8月2日(水)〉




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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
まるで 今 聴いてる感 溢れるブログで こばけんさんの魅力伝わります

誰でも知ってる曲の演奏は 逆に力入るかもしれませんね

今 遅ればせながら 恩田陸さんの 蜜蜂と遠雷 を読んでます  クラシックますます聴きたくなります

さて 前回のコメントに 吟行と書こうとしたら銀行になっちゃってました  お恥ずかしいです
メミコ
2017/08/04 09:24
演奏会の前に、CDで「予習」を
されてるという事は、以前のブログで
拝読してましたが、3通りを聴き比べてから
お出かけになるんですか。私も以前
台本を読んでから、芝居を観に行ったなあ
なんて事を、ふと思い出してしまいました。
yasuhiko
2017/08/04 10:38
メミコさん、こんばんは。
『蜜蜂と遠雷』、僕も読みたいと思っています。
でもいつも文庫化されてから読むので、今回も文庫になってからになるかもしれません。
書き間違い、僕もよくありますよ。
いつもコメントありがとうございます。
家ニスタ
2017/08/04 23:03
yasuhikoさん、こんばんは。
多いときは、5枚のCDを聴きくらべて行きます。
台本を読んで芝居に行かれるのもすごいですね。
いずれにしろ、予習してから行くと楽しみが倍になるような気がしますが、いかがでしょうか?
いつもコメントありがとうございます。
家ニスタ
2017/08/04 23:11

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