『ぼくたちは見た~ガザ・サムニ家の子どもたち~』を見る

渋谷、ユーロ・スペースで上映中のぼくたちは見た~ガザ・サムニ家の子どもたち』を見てきました。
アジア・プレス所属の古居みずえ監督による、ドキュメンタリー作品であります。

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世の中には、ドキュメンタリー映画なぞというものにまったく興味のない人たちもいます。
僕のまわりにもけっこういます、というか、それが大多数かもしれません。
理由は、「映画とは楽しむもの」「日常を忘れさせてくれる夢のあるものであるべき」といったところでしょうか。
また、「ニュースならテレビでやってるし、ネットでもいくらでも見れるんだから、わざわざ映画館で見なくてもいいんじゃん」という考えもあるでしょう。
まあ、それはそれで一理あります。

でも僕は、ドキュメンタリー映画が果たすべき役割というのは、確実にあると思っていますし、ドキュメンタリー映画でしか描けないものもあります。
むしろ今の時代、その役割の重要さは増しているのではないか、と思うのです。

例えばこの『ぼくたちは見た』です。
パレスチナ情勢なんて、日本ではごくたまにしか報道されませんし、多くの人にとってはるか遠い国の出来事でしかありません。
(もちろん僕もその一人です)
この映画の背景になっている、2008年のイスラエル軍によるガザ侵攻も、その直後は報道されはしたものの、すぐに日本のマスコミでは取り上げられなくなりました。

報道がなくなったからといって、問題が解決したとか、消えてなくなってしまったとか、そんなことではもちろんありません。
むしろ大変なのは、その後のほうではないでしょうか。
イスラエルに蹂躙されたパレスチナの人たちは、家も畑もすべて破壊され、生きる術を失ってしまいました。
親を亡くした子どもたち、子を失った親たちも、それでも生きていかなければなりません。
これを書いている僕も、この映画を見るまではまったくそうしたことは知りませんでした。

こうした、報道では取り上げられなくなった「その後」を拾い上げていくために、ドキュメンタリー映画は有効な手段だと思います。
この映画では、20年パレスチナに通い続けているという古居監督ならではの腰の据わった撮影で、テレビでは報道されなくなった「その後」を丹念に追います。

監督はことさらに悲惨さを強調することなく、子どもへのインタビューを通じて、「その日何が起こったのか」を明らかにしていきます。
それが逆に、事件の恐ろしさを浮かび上がらせている気がします。

映画の中で、子どもたちが「世界はパレスチナのことを忘れてしまった」と歌う場面がありました。
イスラエル軍がどれだけ非人道的なことをしても、それを糾弾するはずの国連は、まったく機能していません。
アフリカなどで虐殺が起こると、よく「人道に対する罪」なるものに認定されますが、イスラエルの行為は、人道に対する罪にあたらないのでしょうか?
ほとんど丸腰で戦闘意思のない人間を、近代最新兵器で武装した兵たちが攻撃するなど、蛮行以外の何ものでもない気がするのですが・・・。

とにかく多くの人に見ていただきたい作品なのですが、残念ながらユーロスペースでのモーニング・ショー上映は9月2日で終わりです。
すいません、もっと早く見にいって、ご紹介すればよかったのですが。
上映後のトークショーでの監督のお話では、これから順次全国で上映していくとのことだったので、皆さんの近くの町に来たさいには、ぜひご覧になってください。

ホームページはコチラ


ぼくたちは見た: ガザ・サムニ家の子どもたち
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古居 みずえ

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