大野&都響の『マーラー4番』を聴いてきました

〈2016年11月27日(日)〉
怒とうのコンサートウィーク第2弾は、大野和士指揮東京都交響楽団による、『マーラー交響曲第4番』です。
ひさしぶりに、池袋の東京芸術劇場まで行ってまいりました。


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大野という指揮者は、去年の4月にマーラーの7番で聴いていらい、2回目になります。
都響の音楽監督でもあり、もっと聴く機会が多くてもいい指揮者ですが、曲目や日程が合わなかったりして、久しぶりの拝聴となりました。
これから、聴く機会が増えてくるかもしれません。

大のマーラー好きの僕ですが、こと4番に関しては、今までそれほど好きな交響曲とはいえませんでした。
明るく爽やかなだけで、他のマーラーの交響曲で感じられるような精神性の深さが足りない、と感じていたからです。

あまり好きではない、といいつつ、CDを数えたら5枚ももっていました。
テンシュテット/ロンドン・フィルによる1982年の録音。
インバル/フランクフルト放送響による1985年の録音。
バーンスタイン/ロイヤル・コンセルトヘボウによる1987年の録音。
ラトル/バーミンガム市響による1997年の録音。
ジンマン/チューリヒ・トーンハレによる2006年の録音。
といったところです。

今回は時間がなく、5枚をじゅうぶんに聴きこんでくるということはできなかったのですが、どれも僕のこれまでの4番に対する印象をくつがえすには至りませんでした。
今日の大野によるナマ演奏は、僕の印象を変えることができるでしょうか。


開演の14時ちょっと前に、コンサート・ホールに入ります。
人気のマーラー、ということで、会場は9割がたうまっていました。

14時を5分以上過ぎてから、オケが入ってきます。
やがて大野さん、ソプラノの天羽明恵さんも入場。

今日のオープニングは、ベルクの『アルテンベルク歌曲集』という曲です。
(おそらく)難曲であるこの曲、天羽さんは軽々とうたいこなしていました。

森麻季さんファンである僕、正直「森さんだったらよかったのに」などと不遜なことを思わないでもありませんでしたが、この天羽さんという方もなかなかの実力者であるようです。
これから要注目のソプラノかもしれません。

曲は歌曲にしては大規模なオケをバックにしたがえ、ベルクらしい不安さを感じさせるような旋律をくりひろげる大曲でした。
おそらく演奏機会のそう多くないこの曲を聴けたのは、ラッキーだったかもしれません。


2曲目では、天羽さんに代わってピアノのピエール=ロラン・エマールさんが入場してきます。
ラヴェルの『左手のためのピアノ協奏曲』という、これまた演奏機会の少なそうな曲。

この曲もまたピアノ協奏曲としては大規模なオケをしたがえていますが、これは作曲者のラヴェルが、ピアノが左手だけのために音の厚みがうすくなるのを補おうとしたためだとか。
結果的に、スケールの大きな曲となっていて、聴く側としてはよかったです。

右手が不自由ではないエマールさん、左手だけで演奏するのはストレスがたまったのか、アンコールで演奏したブーレーズの曲の前に「この曲は両手で弾きます」と両手を見せて聴衆に告げていました。


20分の休憩のあと、いよいよ問題のマーラー4番です。
軽快な鈴の音とともに、曲がはじまります。

結論から先に書きますと、この曲を1楽章と4楽章をメインにして考えた場合、「明るく爽やかなだけの曲」という僕の印象がくつがえることはありませんでした。
しかし、3楽章のアダージョを聴きながら思ったのですが、もしこの曲を緩徐楽章メインの交響曲と考えたなら、どうでしょう。

第3楽章は美しく穏やかななかにも、スケールの大きな曲調の変化があり、若干死の匂いもします。
つまり、4番における精神的な深みは、もっぱらこのアダージョ楽章が担っているといえるのです。

それは、のちの5番におけるアダージョや、ひいては9番のメインを張る2つの緩徐楽章へとつながるものです。
一見明るく爽やかなだけに見える4番は、実はマーラーの初期と中期、後期の交響曲とをつなぐ、重要な作品だということに気づきました。

マーラーの交響曲の中では編成も小さく、演奏時間も短いこの交響曲。
単独で見ると底が浅いように見えても、マーラーの交響曲全体の流れの中では、重要な位置を占めていたのでした。
なんといってもマーラーです。“ただの”交響曲なんて作るはずがなかったのです。
僕はあらためてこの曲のすごさを実感しました。

こういうことに気づけるのも、ナマ演奏の効力といえるのではないでしょうか。
CDを聴くだけでは、一生気づかなかったかもしれません。


とはいえ、今まで感じていた違和感、たとえばラストの尻切れトンボ感、などは、最後まで解消されることはなかったのですけれど・・・。

一見明るく爽やかなだけに見えて、実は重要だった第4番。
マイ・マーラー・チクルスの最後をかざるにふさわしい作品でした。


というわけで、この大野の4番をもちまして、マイ・マーラー・チクルスがついに完成しましたっ!!
思えば、はじめてコンサート・ホールに足をはこんだのは、2010年6月のインバル/都響による『復活』でした。
それから足かけ6年。
僕のマーラーをめぐる長い旅も、ついに終わりを迎えました。


それではここで、マイ・マーラー・チクルスの足跡をあらためてたどっていきたいと思います。

第一番『巨人』 ・・・2012年9月、インバル/都響
第二番『復活』 ・・・2010年6月、インバル/都響
第三番      ・・・2015年12月、デュトワ/N響
第四番      ・・・2016年11月、大野/都響
第五番      ・・・2013年1月、インバル/都響
第六番『悲劇的』・・・2015年3月、ドゥダメル/ロス・フィル
第七番      ・・・2015年4月、大野/都響
第八番『千人』 ・・・2014年3月、インバル/都響
第九番      ・・・2014年3月、インバル/都響
第十番      ・・・2014年7月、インバル/都響
『大地の歌』   ・・・2012年3月、インバル/都響

最初のころはインバル/都響のコンビでしか聴かなかった僕でしたが、他の指揮者も聴くようになってから、達成のペースが早まりましたね。
それにしても長かった!

達成したばかりではありますが、来年からはさっそく二周目に突入するかもしれません。
また、ブルックナー・チクルス、ショスタコーヴィチ・チクルスの早期達成も待たれます。
僕のクラシックをめぐる旅、しばらく終わりそうにはありません。
それではまた!





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東京芸術劇場の外観です。


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芸術劇場内部。


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芸術劇場の前では、TOKYO交通安全キャンペーンというイベントが開かれ、警視庁騎馬隊も出演していました。


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スペインなどではよく見ますが、日本では騎馬警官はめずらしいですね。



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この記事へのコメント

2016年12月02日 13:55
騎馬警官、本当に珍しいですね。
これだけ華やかな衣装を揃えてるんなら、
出番をもっと増やして、東京の観光に
役立つようにすればいいのにと思いました。
家ニスタ
2016年12月02日 22:26
yasuhikoさん、こんばんは。
僕も東京で騎馬警官を見たのははじめてです。
東京のような交通の激しいところでは、優雅な騎馬警官が出ても邪魔になるだけかもしれませんし、出動機会は限られるかもしれません。
たしかに、観光用としては効果がありそうですね。
いつもコメントありがとうございます。
2016年12月05日 13:00
6年がかりの達成おめでとうございます 

そして。。。2周目に入るんですか(笑)
1番から10番までって長い道のりですね

家ニスタさんの文章を読んでると。。。
マーラーを聴く機会があるといいなぁ~と思います
私は語れませんが。。。(笑)

騎馬警官なんて日本にもいてるんですね
ビックリしました
ちゃんとカメラ目線な馬が可愛いです♪
家ニスタ
2016年12月05日 23:29
とまるさん、こんばんは。
1~10番+『大地の歌』で11曲です。
始めたころは全曲聴くつもりなんてなかったので、自分でもびっくりです。
騎馬警官が日本にいるのは、僕も初めて知りました。
人に慣れた馬みたいで、おとなしかったですね。
ちゃんとポーズをとっていましたよ。
いつもコメントありがとうございます。

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