ゲルギエフ&マリインスキー管の『展覧会の絵』を聴いてきました

ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団による『展覧会の絵』を聴くため、所沢・航空公園のミューズ・アークホールへ行ってまいりました。

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この冬にゲルギエフが来日することは知っていたんですが、サントリー・ホールで演る曲目は、ラフマニノフの交響曲2番やベルリオーズの『幻想』など、どれもそれほど好きではなかったり、すでに聴いたことのある曲だったりしました。
そんな中、ぴあさんから通知メールが来まして、12月9日に所沢で『展覧会の絵』をやるぞ、と。
所沢は遠いのでちょっと考えたんですが、どうしてもゲルギエフの展覧会の絵が聴きたいと思い、思いきってチケットを買いました。

僕はゲルギエフの指揮による演奏を、今まで2回聴いたことがあるのですが、1回はミュンヘン・フィルで、1回はPMFオーケストラだったので、マリインスキーとの演奏は聴いたことがありませんでした。
今回は手兵中の手兵、マリインスキー管をひきいての来日。
どんな演奏を聴かせてくれるのか、楽しみです。


毎年のように来日しているゲルギエフ。
日本でたいへん人気ですが、人気の理由はやはりでしょう。
いかつく、野性味にあふれ、一見クラシックの指揮者らしからぬゲルギエフの顔。
その顔に“いかにもロシア”といった物語を重ね合わせ、他の指揮者とはひと味ちがった演奏を期待してしまうのです。

僕は展覧会の絵のCDは、やはりゲルギエフがウィーン・フィルと共演した2000年の演奏のものを持っています。
今回、予習としてこのCDをみっちりと聴きこんでまいりました。


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航空公園駅でおりると、駅名どおりにYS11が展示されていました。
どういう由来のある公園なのでしょうか。


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所沢ミューズ・アークホールは航空公園駅から徒歩5分ほどのところにあります。
このホールに来たのははじめてだったのですが、思いがけずりっぱなホールで、おどろきました。
できて間がないようで、木の椅子など真新しさがただよっていました。


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アークホール入口です。
ホールに入ると、会場はほとんど満員で、この街の文化度の高さがうかがえます。


演奏開始時間になり、オケとゲルギエフがあいついで登場。
メインの『展覧会の絵』の前に、デュティユーの『メタポール』、チャイコフスキーのバイオリン協奏曲、ワーグナーの『パルジファル第1幕への前奏曲』の3曲の演奏があります。
このうちチャイコのバイオリン協奏曲は、庄司紗矢香さんをソリストに据え、展覧会の絵とのダブル・メインと呼んでもいいものです。

チャイコのバイオリン協奏曲は僕も大好きな曲で、映画『ライトスタッフ』のエンディングに使われていたのも印象にのこっています。
今回この曲が演目に入っていることを、僕はうっかり失念しておりまして、来る前に予習してこなかったのは不覚。
(ToT;)

僕はこれまで、個々の演奏者の技巧というよりはオケのアンサンブルのほうにばかり興味がありまして、有名なソリストで聴いたことがある人といえば、ピアニストの辻井伸行さんぐらいでした。
(あ、このときもゲルギエフとの共演でしたね)
今回、庄司紗矢香さんの演奏を初めて聴いて、その圧倒的な技巧と美しい音色にすっかり魅せられ、
「さすが有名なソリストの方はちがうな~」
とあらためて思わされました。

庄司さんの演奏はなんというか弾むような音色で、まるでバイオリンがバランスボールの上でとびはねているような感じがしました。
曲のすばらしさと庄司さんの技巧がみごとにマッチしていて、じつに感動的な演奏になっていました。

ゲルギエフはこの曲のあいだ、庄司さんに遠慮してかアクションが小さく、胸の前でちょこちょこと棒を振っていたのは、なんかかわいかったです。
あ、そういえば今日の演奏でゲルギエフが使っていた指揮棒がやたら小さく、遠くから見るとつまようじを振っているように見えましたよ(笑)。


さて、いよいよメインの展覧会の絵です。
この曲、ロックバンドのEL&Pがとりあげていたこともあり、中高時代には僕のフェイバリットなクラシック曲のひとつでした。
その後CDなどを聴く頻度は減りましたが、やはり今でも好きな曲です。
今までライブで聴く機会がなかったのは、ゲルギエフの指揮で聴けるという今日のような日を待っていたのかもしれません。

じっさいにナマで聴いてみると、もちろんムソルグスキーの曲のすばらしさもありますが、
「編曲のラヴェル、ブラボー!」
とあらためて思いました。
「この旋律にはこの楽器」という選択がいちいち絶妙で、目を閉じれば色が浮かぶような、カラフルさを演出しています。

ゲルギエフ/マリインスキー管がまたこれに応えるように、カラフルな演奏をくりひろげました。
10枚の絵に対応する1曲1曲が、それぞれきわだった個性を見せ、まるでおもちゃ箱をひっくり返したようなバラエティの豊かさです。
終曲の『キエフの大門』に向けてしだいに盛りあがっていくさまに、ひとつの物語世界の中に自分の身を置いているような感覚にとらわれました。

どうしてだろう。
涙があふれそうになります。
こんなに感動したのは、ひさしぶりかもしれません。

ゲルギエフにとって、おそらく何十回となく指揮してきた、オハコ中のオハコといえるこの曲。
いつどのオケとでもこのレベルの演奏ができるのかもしれませんが、それでもこんな名演の日に立ちあえたことを、幸せに思いました。

本当に、所沢まで来たかいがありました。
地元にこんなすばらしいホールがある所沢市民は、なんとめぐまれていることでしょう。


僕にとっての3大指揮者といえば、かつてはインバル、ヴァント、ノイマンでしたが、このうちヴァントとノイマンが鬼籍に入られ、現在ではインバル、ゲルギエフ、ドゥダメルとなっています。
3大指揮者の一画のゲルギエフ、これからも来日のさいは、なるべく聴きにいこうと思っています。
それではまたどこかのコンサート・ホールでお会いしましょう!





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夜はホール前の木々がライトアップされていました。




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この記事へのコメント

2017年12月16日 21:54
展覧会の絵を最初に聞いたのはシンセの冨田勲のアルバムで、本筋のクラシックはその後何年もあとになったような気がします僕。。

所沢の航空公園は日本初の公式飛行場の跡地で、前年に代々木練兵場で飛行機の日本初飛行が行われていたんですが、正式な飛行場での初飛行は所沢のこの地になるんです。ちなみに代々木は徳川好敏・日野熊蔵。所沢は徳川好敏大尉。
ちなみに代々木では二人の記録前の5日前に非公式ですが日野が試運転でのジャンプか飛行かという論争があります。ついでの余談ですが日野熊蔵は日本初の日野式自動拳銃の発明者です。
家ニスタ
2017年12月16日 22:39
つとつとさん、こんばんは。
なるほど、そんな由来があったんですね!
そうした由来のことなどつゆ知らず、どうしてこんなところで航空公園なのかなあ?と疑問に思っておりました。
冨田勲さんの展覧会の絵のアルバム、僕も持っています。
当時はどうやったらこんな音色が出せるのかと、不思議で仕方ありませんでした。
いつもコメントありがとうございます。

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