『万引き家族』を見てきました

上映中の映画、『万引き家族』を見るため、地元ちかくの映画館、イオンシネマ守谷へ行ってまいりました。

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先日のカンヌ国際映画祭で、パルムドールを受賞したことが話題となった是枝裕和監督のこの作品。
僕も楽しみにして行ってきました。

僕は是枝監督の作品はこれまで、劇場では『海街diary』しか見たことがありません。
あの作品もカンヌに参加していましたが、そのときはけっこう酷評だったとか。
僕は面白かったんですけれどねえ。

「家族」というテーマは是枝監督が長年追いかけてきたもので、先述の『海街diary』もそうですが、監督の出世作『誰も知らない』などもそうでしたね。


(STORY)
柴田治(リリー・フランキー)と信代(安藤サクラ)の夫婦は、信代の祖母、初枝(樹木希林)の年金を当てにして暮らしている。
時おり風俗のバイトでそこそこ金を稼いでいる信代の妹の亜紀(松岡茉優)も、やはり初枝のもとで暮らしている。

治は肉体労働、信代はクリーニング店の下請けで働いているが、たいした稼ぎにはならず、あげくの果てに二人とも失業してしまう。
初枝の年金で足りない部分を補うのは、治と息子の祥太の連携による万引きだ。

そんなある日、治は親から虐待を受けているらしい5才の女の子、じゅりを拾ってきてしまう。
いったんは女の子をもとの家に帰そうとする治と信代だったが、アパートの中から暴力の音が聞こえてくるに及んで、帰すのをあきらめてしまう。

「万引き」という犯罪でつながる関係ながら、仮の家族は一見穏やかで、和気あいあいとした生活を続けていく。
そんな中、家族をばらばらにする事件が起こって・・・。
      というもの。


日本でも貧富の差が大きくなりつつある昨今、タイムリーな映画だと思いました。
監督は「すでに死亡している親の年金を、家族が不正に受給していた」という実在の事件から、このストーリーを思いついたといいます。
もちろん彼らのしたことはいけないことですが、果たしてわれわれは一概に彼らのしたことを非難できるのでしょうか?

「貧困」はだれでも陥る危険のあるものです。
病気やケガ、不当な解雇などで職を失い、それが中高年にさしかかってからのことであれば、次の職さがしはむずかしく、一気に貧困に陥ってしまう可能性があります。

そうしたさいのセーフティネットとして、「生活保護」がありますが、日本では生活保護を受給している人に対しては、概して冷たいようです。
仕事をしていながら、「ワーキング・プア」の状況にある人などにとっては、「仕事もせずに金をもらって許せない」という感情があるのもわかりますが・・・。

生活保護を受給している人の多くは、やむを得ずその境遇に陥った人たちです。
(中には単なる怠惰、という人もいるかもしれませんが)
憲法に「最低限の文化的な生活」が保障されている以上、そうした人たちを国が支援するのは当然のことです。

ここ数年、生活保護の支給レベルを下げる方向での改革が進んでいますが、ただでさえ貧困の状況にある人たちをより貧困に追いやるものであり、賛成できません。


映画のラストでやはり気になるのは、虐待されている家から連れてこられたじゅり(ゆり)の今後です。
犯罪でつながっているという異常な(仮の)家族でしたが、治や信代のもとにいて、一時的にとはいえ彼女は幸せだったのではないでしょうか?
本当の親とはいえ、虐待をくりかえすような人たちのもとへ帰されて、彼女は幸せになれるのでしょうか?

愛情のない本当の親か、愛情のある仮の親か。
「家族」というものをテーマに映画を撮り続けてきた、是枝監督らしい問いかけだと思います。

それから朝ドラ『あまちゃん』でブレイクした松岡茉優の、体当たり演技も印象に残りました。
半裸で風俗嬢を熱演する姿に、「おいおい大丈夫?」とちょっと思っちゃいました。
でも演技力では、「あまちゃん女優」のなかでは頭ひとつ抜けた感がありますね。


いろいろと考えさせられる、ということはもちろん、数々の美しいシーンがちりばめられ、単純に映画としてよくできていると思います。
(仮の)家族で海に行ったシーンなど、本当に美しいです。

★★★★⋆
ホシ4つ半です。


〈観覧日:2018年6月11日(月)〉




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この記事へのコメント

メミコ
2018年06月14日 09:04
お久しぶりです  タイムリーな作品を観られたんですね
とても興味があります
6月で主人も完全退職して これからは年金生活です
家族の事をいつも作品にされてる是枝監督の次回作が もう 楽しみになりそうです
家ニスタ
2018年06月14日 22:03
メミコさん、おひさしぶりです。
問題提起としてタイムリーな映画だったと思います。
是枝監督の作品でまだ見ていないものがけっこうある(三度目の殺人、そして父になるなど)ので、これから見ていきたいと思います。
やっぱり「家族」というテーマが根底にあるみたいですね。
いつもコメントありがとうございます。
2018年06月14日 23:32
これまでの是枝作品の内、
映画館に出向いて観た事があるのは、
カンヌで最初に認められた作品
(主演男優賞)『誰も知らない』と、
もう一作(題名を忘れた)だけです。
今回の作品は、話を聞く限り、
『誰も知らない』に一番近いのかな
という印象を持ちました。仰るように、
彼らの行為だけを取り上げれば、
「異常」とか「不道徳」という一言で
終わってしまうんでしょうが、
映画の中で、彼らと同じ目線に立って、
彼らと同じ時間を共有するような気分を
味わうと、何だかちっとも特殊な事と
思えなくなって来るんですね。
是枝監督が、ずっとそうした視線を
忘れずに持ち続けている事は、
とても貴重な事のように思えました。
家ニスタ
2018年06月15日 22:59
yasuhikoさん、こんばんは。
そうですね、たしかに『誰も知らない』に似ていますね。
われわれはふだん、「善」と「悪」がきっちりと分かれているような前提で暮らしていますが、ちょっと視点を変えれば、その境界はあいまいになってくると思います。
是枝監督は一見「悪」であるように見える家族に寄り添い、決して「悪」か「善」かを決めつけることなく彼らの姿を追っていきます。
おっしゃる通り、そうした視線は現代において非常に貴重なものだと思います。
いつもコメントありがとうございます。

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