ドゥダメル&ロス・フィルの『巨人』を聴いてきました

グスターボ・ドゥダメル指揮ロスアンゼルス・フィルによるマーラー交響曲第1番『巨人』を聴くため、赤坂のサントリーホールへ行ってまいりました。

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怒とうのクラシック月間第2弾はマーラー!

僕がつねづね自分にとっての三大指揮者(インバル、ゲルギエフ、ドゥダメル)の一角にあげているドゥダメルですが、インバルとゲルギエフは比較的聴く機会が多いのにくらべ、これまでドゥダメルの指揮する演奏を聴いたのは一回しかありません。
理由は来日回数がすくないのと、彼のひきいるロス・フィルはチケットがたかい!

都響の国内オーケストラ料金で聴けるインバル先生はもちろん、ゲルギエフもユース・オケのPFMオケをひきいて来日することがあり、比較的お値ごろな料金で聴くことができます。
それにたいしてドゥダメルは、前回2015年3月の来日のときには、僕がチケットを買ったころにはすでにB~C席が売りきれていたこともあり、22000円もの大枚をはらったのでした(泣)。

その経験もあって今回は、はやめにチケットをとろうとおもったんですけれど、発売初日にサイトをのぞいてみたらなんとすでにB~C席は売りきれ。
泣く泣く今回も24000円のA席を買ったのでした。
前回より高うなっとるやないか~~い!!!


さて今回のドゥダメル/ロス・フィルのサントリーホールでの公演は、3月20日のマーラー1番と、22日のおなじくマーラーの9番の2回です。
(ほかにNHKホールで21日にジョン・ウィリアムズ・プログラムをやるようですが)
マイ・マーラー・チクルスも2周目にはいっていますが、1番も9番もまだ2回めは聴いていなかったので、どちらを聴いてもよかったんです。

なぜ僕が1番『巨人』のほうをえらんだかというと、
「若造のドゥダメルにはまだ9番の深みは出せない」(笑)
という上から目線の理由からでした。
でもかんがえてみると、ドゥダメルももうそんなに若造でもないですよね。

ドゥダメル/ロス・フィルでマーラー『9番』を聴き、去年12月のゲルギエフ/ミュンヘン・フィルで『巨人』を聴く、という手もあったんですけれど・・・。
ゲルギエフの演奏はけっこう聴いてるので、そのときはパスしました。


れいによって自分のもっている4枚の『巨人』のCDを、事前に聴いてきました。
(もっと持ってるかもしれない。あとで調べてみます)
バーンスタイン/ニューヨーク・フィルによる1967年の演奏。
インバル/フランクフルト放送響による1985年の演奏。
バーンスタイン/ロイヤルコンセルトヘボウによる1987年の演奏。
ジンマン/チューリヒ・トーンハレによる2006年の演奏。
の4枚です。

この中で決定版は、優秀録音でもあるジンマン/トーンハレ盤かなあ、とは思うんですけれど。
あらためて聴いていると、インバル先生のフランクフルト盤が良すぎて良すぎて・・・。
クラシック聴きはじめの高校生のころに、たぶん僕はこの演奏をFMで聴いています。
(じっさいにCDを買ったのはその数年後)
なんだかそのころの思い出がわきだしてくるようで、客観的には聴けないCDですね。

マーラーのなかで『巨人』がいちばん好き、というとなんだか素人っぽいので(笑)、さいきんではあまり言いませんが、やはり好きな曲のひとつではあります。


さて演奏です。
開演の30分前が開場ですが、その前にいくとすでに聴衆が列をつくっていて、いつもの国内オケとはちがう熱気がかんじられました。

客席はほぼ満席。
指揮者の出てくるだいぶ前から、オケのメンバーがばらばらに檀上にあがり、各自かってにチューニングや練習をしてました。

やがて開演時間となり、指揮者のドゥダメルと今日のピアニスト、ユジャ・ワンが出てきます。
このピアニストは僕は知らなかったんですが、中国出身で数々の受賞歴があるようです。

大曲とはいえ巨人は先日のブル8ほど長くないので、前座の曲があります。
ジョン・アダムズのMust the Devil Have All the Good Tunes?という曲で、日本初演だそうです。
作曲者も客席に来てたみたいです。

コントラバスがリズミカルにベース音をかなで、ピアノもリズム楽器のように使った曲はジャズかロックのようで、まるでEL&Pあたりのプログレの曲を聴いているような感覚にとらわれました。


20分の休憩をはさみ、いよいよ『巨人』のはじまりです。
濃い霧がしだいに晴れていくようなオープニングは、やや“ブルックナー開始”をおもわせますが、壮大な物語の序章にふさわしいといえます。

ところがそこから展開されていく物語世界は、ブルックナーよりはるかに複雑です。
「ストーリーが複雑骨折した大河小説」のような支離滅裂さは、マーラーならではものであり、すでに「第1番」の時点でこうした「マーラー節」が確立されているのはおどろきです。
ペシミスティックな厭世観をしめしていたとおもったら、つぎの瞬間にはうららかな希望をうたう、そんな感情の振幅のはげしさがマーラーの音世界の魅力です。

ただ、こうしたマーラーの革新(?)性は、つぎの2楽章のスケルツォでは一転して保守性を見せます。
ブルックナーがダンス音楽の原型をとどめない変態的なスケルツォを書くのにたいして、ここでのマーラーは
「さあ、おどりましょう」といった感じの典型的なスケルツォを見せています。

第3楽章の緩徐楽章は、ボヘミアの民謡にモチーフをとった民俗的な音楽になっています。
ここで僕はロス・フィルの底力を見た気がしました。
アメリカのオケをあまり聴いたことのない僕の勝手な思いこみだったら申し訳ないのですが、がいしてアメリカのオケは大味なイメージがあります。

それが、この楽章では哀愁をおびたメロディを“お涙ちょうだい”にならない絶妙な繊細さでうたいあげ、マーラーの意図した“孤独”や“寂寥”をみごとに表現したようにおもいます。
それでいて、次の4楽章における力づよい表現もかるがるとこなすのですから、やはり並々ならぬ力量をそなえたオケだということができます。

そしていよいよ曲は最終の4楽章に突入していきます。
激情をほとばしらせていたかと思えば次の瞬間にはのどかなこの世の春をうたう、支離滅裂さはマーラー節の真骨頂!
ドゥダメルはとびはねるような大きなアクションで、振幅のおおきなこの楽章でオケをみちびいていきます。
曲は最高潮の盛りあがりを見せたまま怒とうのフィナーレへ!


最高です!!!
今までに聴いたクラシックのライブで、いちばんといっていいほど盛りあがりました。
チケット料金の高さから、一時は来ることをためらったんですが、本当に来てよかったという演奏をしてくれました。

これでマイ・マーラー・チクルスの2周めも、1.2、3、4、7の5曲を聴いたことになります。
あまり早く2周めを達成してしまうと、今度は3周めを・・・ってことになりますかね(笑)。

怒とうのクラシック月間はまだ続きます。
25日にはウルバンスキ/東響のショスタコ4番、
31日はインバル/都響のチャイコ5番がひかえています。
またレポートします。
それでは!



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