『文化財よ、永遠に』『人、神、自然』展を見てきました。

常設展料金で入れる2つの企画、『文化財よ、永遠に』『人、神、自然』を見るため、またまた上野の東京国立博物館へ行ってきました。

文化財よ、永遠に.jpg
まずは本館1階に展示されている、『文化財よ、永遠に』のほうから見学していきます。

文化財とは、ただ黙って博物館においておけばその価値を保つことができる、というものではありません。
長い時間がたつうちに劣化・破損し、ひどいときには滅失してしまいます。

そこで、保存・修復という作業になってきます。
とくに今回の展覧会のメインになっている仏像などのように、信仰の対象となっている場合、単に現状を維持するだけではなく、なくなった腕を補ったりなど、積極的に補修することが必要になります。

文化財において常に「保存と活用」の2面から考えることが必要、といわれますが、この2つの概念は本来対立するものです。
活用が行き過ぎれば文化財は劣化し、破損することもあります。
文化財の価値を保つためには公開せず、博物館の収蔵庫でねむらせておくのがいちばんいいのですが、それでは「活用」がまったくできません。
両者のバランスを保つためには、文化財のことを熟知した学芸員の存在が重要になります。

「学芸員というガンをなくせば文化財の活用がすすむ」
といったどっかの大臣がいましたが、まったく文化財のことを理解していないおバカちゃんな意見、といわざるを得ません。
文化財を観光活用し、お金儲けをすることしか考えていないのでしょうね。
いまの政権には、なんでもお金の基準でしか考えられない方が多いような気がします。

話がそれましたが、今回の企画では東北沿岸で津波の被害にあった仏像なども多く、それらが修復によってよみがえることは、地域の人が心の安定を取りもどすうえでも大切なことです。
また、千手観音の腕を一本一本バラして修復していく過程などがパネルで解説してあり、たいへん興味ぶかかったです。

じつはこの企画も12月1日までの公開になります。
毎回ご紹介が遅くてもうしわけありません。
ご興味がおありの方はぜひお急ぎください。



人、神、自然.jpg
もうひとつの『人、神、自然』展は、東洋館の第3室での公開になります。
展示されているのは、カタールの王族であるアール・サーニ殿下のコレクションです。

コレクションのほとんどが世界各国の古代文明由来の美術品で、この王子はよっぽど古代文明がお好きなんでしょうね。
特筆すべきはその出土地域の多様さで、エジプト、西アジア、中南米、中国と文字どおり世界中にわたっています。
しかしこれだけのコレクションを構築するために、いったいいくらかかったんでしょうね・・・。

個人的な興味としては、僕になじみの深い南米モチェ文化の金製品(ネコ科動物の鼻飾りやサルのペンダント)も出ていました。
これもかなりの優品ですが、どうやって手に入れたんでしょう?

展示は人、神、自然の3分野に分けられていますが、その境界はあいまいです。
エジプトのファラオなどは神格化されていましたし、『自然』ジャンルに分けられている動物像も、神の変異したものだったりします。
古代文明において、こうした造形はほとんど神にかかわるものだった、といえそうですね。

まあ、見終わって最後に印象にのこるのはやはり「中東のお金もちのケタ外れさ」でした・・・。


今回の2企画は、非常に充実しているわりには常設展価格で見ることができ、おトク感がありましたね。
個人的には、メチャ混みの『正倉院』には行かずに、さいしょからこっちに来ればよかったと思いました。


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この記事へのコメント

2020年01月19日 09:41
子どもの頃、怒られそうですが、寺院や神社の建物を見て木材むき出しの古びた建物や煤けたり、金箔や装飾の剥がれた姿を見て地味で汚いと思い、かといって新しい寺院などの社殿の彩色は派手に見えて、正直信心が湧くどころか拒否感が。。歳とって、多少の知識と蓄積で、使用感や経年も文化財の魅力と思えてきましたが。。
確かに保存と活用は難しい問題ですが、使用されている文化財にも修復にかかる許可までの年月問題、隔離問題も多いののは確かですが、件の山本○○みたいのに任せたら、10年もしないうちに文化財が取り返しが利かなくなります。やはり専門職としての学芸員の存在は重要になりますが、専門知識や技術も重要ですが、言葉は悪いけどオタクにならず、他の人にも広げる広報性も身に着けて欲しいもので、それがいずれは自分の味方になると思うんですが。。
家ニスタ
2020年01月22日 22:58
つとつとさん、こんばんは。
まあ、某山本ナニガシ元大臣みたいのは論外なんですけれども・・・(笑)。
たしかに学芸員の発信力も問題ではあるんですけれども、どこの博物館もぎりぎりの人人員でやっています。
多くの地方博物館では学芸員が1人~数名か、あるいはゼロ、というところが多いです。
東博(東京国立博物館)のような一流博物館でも、学芸員の数は大英やルーブルの10分の1以下であるようです。
日本の文化財行政の貧困さがいわれるゆえんですね。
忙しい中で学芸員からの発信も行われていて、たとえば僕が博物館実習を受けた明治大学博物館では、市民向けの無料講座なども行われていましたが、これも受ける方が固定化してしまう問題はあるようです。
コアなファン以外の方へ研究の成果をつたえるとなると、なかなかむずかしい面はあるようですね。
いつもコメントありがとうございます。